酒井酒造
 
(山口県岩国市)

 
 


麹室にて:酒井 佑社長

最後に、日本酒ライスパワーネットに対する期待や要望を。
 一ノ蔵さんの「3トン以上の仕込みはしない」というポリシーや、「米を見直す」というライスパワーネットの考えに共感して、仲間に加えてもらいました。富久錦さんの「純米酒100%路線」も凄いですね。こういう人々が身近にいること自体に価値があります。低アルコール発泡純米酒「すず音」にも興味があり、できれば手がけてみたいのですが。

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酒井酒造の特徴は、若い力が伸び伸びと活躍しているところにある。夏期の生酒造りや、月刊の「蔵元だより」も若い社員が主力となって支えている。45年の経験を持つ吉永杜氏や酒井社長と、若手社員とのコミュニケーションも申し分ないようだ。あくまでも堅実な経営方針とあわせて、当社の最良の資産はここにあるとの印象を深くした次第である。(事務局)

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【会社データ】

  • 従業員数:常勤23名+非常勤(季節含む)8名
  • 創業:明治4年
  • 製成数量:630kl(実数)
  • 課税移出数量:798kl(実数)
  • 特定名称酒比率:吟醸酒(純米吟醸含む)8%、純米酒8.8%、本醸造酒11.6%
  • 販売先構成:山口県(日本海側を除く)・広島市などの山陽地方が中心。小売30%、卸売70%

岩国市と言えば「錦帯橋」。五連のたいこ橋の独特な美しさから、日本三大名橋の一つに数えられる錦帯橋にちなんだ「五橋」をブランド名にもつ酒井酒造を訪れたのは、春まだ浅い3月の夕暮れである。ご自宅のゆったりした和室に案内されてお待ちすると、ほどなく和服に着替えられた酒井 佑社長が現れた。

経営の現状はいかがですか。
 当社の日本酒の売れ行きはこの5年間横ばいですが、まずまずです。低アルコール酒(「花ならつぼみ」)は徐々に伸びており、720mlで月平均千本位。小規模な蔵としては、これ以上製成量を増やす積もりはなく、地道に消費者に喜んでもらえる酒を造り続けるのが課題です。

日本酒全体としては不振が続いていますが、その原因は何だとお考えですか。
 アルコールや糖類の添加を正当化して消費者の信頼を失ったことが最大の要因だと思います。当社では10年以上前に糖類添加をやめ(中国地域では最初)、添加するアルコールも昨年からは米アルコールに代えました。

商品政策や酒造りでのモットーなり、力を入れていることをお聞かせ下さい。
 吟醸酒や純米酒の比率はさほど高くありませんが、自分が晩酌で飲む「当たり前の酒」を人にも奨めたいのです。一番のこだわりは原料米。質の良い県産米を確保するため、柳井市伊陸(いかち)地区の農家と山田錦の栽培契約を行ってきましたが、さらに一歩進めるため、一昨年10月に精米所を伊陸に移設しました。農家の人が、自分の米の出来具合を気にして精米所を訪れるなど思わぬ効果がでており、今後の品質向上が期待されます。また、通常の醸造期間は11月から4月末までですが、10年前から夏に仕込んだフレッシュな生酒を地元限定で販売しています。

最近の明るいニュースは何でしょうか。
 県内唯一の金賞受賞(昨年)や全日空の国際便ファーストクラスに「大吟醸・錦帯五橋」が採用されたこと(99年9月〜2000年2月)もありますが、一昨年10月から発行している「蔵元だより」に対する反応がお客さんから返ってくることの方がうれしい。コミュニケーションの大切さを再確認しています。

新しい時代におけるお蔵の姿について、抱負を聞かせて下さい。
 まずは、お米にこだわる蔵であり続けたい。第二に日本酒の持つ伝統性を大事にしたい。そのためには、蔵元の生活スタイルから正すことが大切です(たとえば、お澗は必ず湯煎にするなど)。第三に、お客さん本位をつらぬいて、地元と密着した蔵をめざしたいと考えています。